癖スゴな中望遠レンズ Jupiter9 は如何?
実はこの Jupiter9 というレンズは、私をオールドレンズ沼へと導いてくれた方からの誕生日プレゼントの頂きものなのです。もう、50年以上前のレンズなので、結構汚れの目立つレンズだったのですが、光学はキレイだったので、全身を大清掃して、今は良き中望遠のレンズ(70mm~135mmくらいの焦点距離のレンズ)として活躍してくれています。いろいろな意味でちょっと癖のあるレンズですが特技!?もアリアリのうれしいレンズです。
ロシア仕様のコピー設計?
ジュピターシリーズの最大の魅力は、あのCarl Zeissの有名なレンズであるゾナータイプのコピーということです。とはいっても、コピーの過程で独自のレンズに進化!?を遂げているようでロシア製レンズっぽさがマシマシに仕上がっているようですよ。
見た目も癖がすごい!
Jupiter9 はロングセラーレンズのようで、多くのタイプがあるようです。今回私が頂いたのは「初期型」L39マウントのシルバーモデルです。
このシルバーモデルは ”金属の塊” 感がアリアリのイカツイ見た目で、重さも300g程度とずっしり重め。カメラにつけて持ち歩いていると目立つこと請け合いです。
黄緑の世界からの脱出。
レンズが届いた日のことです。喜んでカメラに付けて、テストショット!
!????
なんだか黄緑の世界が写ります。実はオールドレンズって全体的にちょっと黄色とか茶色とか色褪せた感じの写りが ”味” だったりもするのですが、、、、流石にこれは行き過ぎです。ちなみに、こちらの方のBlogでも黄緑の世界で写っていますね。。。
ということで”黄緑の世界からの脱出”を試みます。
私は普段利用しているSONYのα7Ⅳでは「ホワイトバランス」の調整機能の中から「カラーフィルター」という機能を使って補正しています。
すると、黄緑がかった色味が普通の色味のレンズ(現代レンズみたいな)で撮ったような色に変わります。素晴らしい。
撮影後に、補正するという手もありますが、なかなか手間もかかるのでカメラのほうで設定してしまうと楽チンです。おすすめです。
ロシアンホワイト&ロシアンブルーは如何ですか?
このレンズ、少し光を入れると「フレア」が出まくります。気を抜くと全体的に白い写りになってしまいますので要注意です。レンズ修理をされている方の記事に「ゾナーのコピーなのだが、Jupiter9は設計?が甘く光が入りまくる」というようなことが書いてあった気がします。そういえば、誰かが「ロシアンホワイト」と名付けておられましたね。いただきです。
Jupiter9(シルバーの前期型)はレンズの前玉にブルーのコーティング(赤紫系)がされています。これが見ていて”うっとり”するように美しいのです。これだけでもコレクションモノです(嘘です)。
このコーティングが素敵な特殊効果を見せてくれます。虹ゴーストと共に出てくる青い世界。一面が真っ青になる光の角度もあります。私はこの現象(特技)を「ロシアンブルー」と呼ぶことにしました。癖になります。ご注意を~。
普通によく映るレンズ
Jupiter9は、ゾナータイプのレンズがベースのため「よく写る」と評判ですが、実際によく写ります。特徴は絞りを開けると柔らかな絵で写り、絞りを閉めていくとパキッと締まった絵になります。また、良い感じで背景がボケてくれるのもうれしいところです。
ピカピカにして愛でる。
このレンズ、何せ50年以上前に製造されたレンズです。当時は銀色に輝いていたであろ鏡胴もすすれて黒ずんでいるのではないでしょうか?
実は私のところにやってきたJupiter9も黄色っぽく黒ずんでいる状態でした(光学は結構きれいだったので良かったです)。
「中古レンズ、買った時より、美しく」by kurara
ということで、レンズの筐体を磨きます!
まずは「無水エタノール」で全体をふき取りした後に「buzz SILVER CLEANER」というメッキ用のクリーナーで磨いていきます。するとピッカピカに生まれ変わりました。私は満足です。
ちなみに「buzz SILVER CLEANER」は楽器のメッキ部分を磨くためのものだったのですが、カメラやレンズ鏡胴のシルバーやメッキ部分にも効果アリアリです!
ぜひお試しあれ!
マウント変換アダプター
このJupiter9は、L39(スクリュー)というレンズのマウントになっています。
このレンズをα7(ソニーEマウント)に付けて撮影するには、L39⇒ソニーEマウントに変換するアダプターが必要になります。ここでは2つの方法についてご紹介してみます。
① 直接変換できるマウント変換アダプター
「L39マウント⇒マイカMマウント」
+
「ライカMマウント⇒ソニーEマウント」
上記の2種の変換アダプターを入手して、レンズとカメラの間に変換マウントを連結していけば、Jupiter9が利用できるようになります。この方法はMF(マニュアルフォーカス)でオールドレンズを利用できます。
②AF化して使うためのマウント変換アダプター
「L39マウント⇒ライカMマウント」の変換アダプター
+
「電子マウントアダプタ ※ライカMマウント⇒ソニーマウント」
上記の2種を入手すると、Jupiter9をα7で利用できるようになりますよ。
①「レンズ」+②「L39⇒ライカM変換マウント」+③「電子マウントアダプタ」+④「カメラ」の順番でつなげると、Jupiter9をAFレンズのように利用できるようになります。オールドレンズをAF(オートフォーカス)で利用したいときは、この方法になります。
マウント変換については、下記も合わせてご覧ください。
今回のレンズ情報
メーカー:LZOS (リトカリノ光学硝子工場) ※時期により異なる。
名称:Jupiter9 (silver)《前期型》
フォーカス:MF(マニュアルフォーカス)
焦点距離:85㎜(35mm判換算)
レンズ:3群7枚(ゾナータイプ)
絞り:f2~16
絞り羽:15枚
フィルター径:49mm
重さ:300g程度?
最短撮影距:80㎝ ※85㎜と記載の人もあり
マウント:L39(スクリューマウント)
生産国:ロシア(旧ソビエト連邦共和国)
生産時期:1950年〜1963年(前期型)
相場:15,000円~35,000円程度
特技/特記:ロシアンホワイト&ブルー(赤紫コーティング)
備考:写りの黄緑化に注意(カメラ側のカラー調整で対応可)
参考になるページ(上記以外で)
PHANTOM ROOM:ロシア2大中望遠レンズの1つ「LZOS MC Jupiter-9 85mm F2」
出品者のひとりごと:◆ LZOS (リトカリノ光学硝子工場) JUPITER-9 85mm/f2 (silver)《前期型》(L39)
ONE-SCENE:Jupiter-9 85mm F2
コメント
[…] 因みに、私のカスタム設定は、1番が色補正有のOLDレンズ用(JuPiter-9 頁参照)、2番が色補正無しのOLDレンズ用、3番にDマウント用を設定しました。 […]